フランス在住★高齢出産女の社会時評

現地の生活者ならではの内容、しかし、ただ生活しているだけではない観察眼が売り

所得の再分配の徹底ぶり

 フランスで実際に子どもを育てていて驚いたことは数々ありますが、一番は「富の再分配」が隅々まで徹底しているということです。「富の再分配」とは、税や社会保障によって貧富の差を是正して不平等が固定化しないようにすることです。

 

 日本でも累進税率や社会保障による「再分配」があるはずなのですが、よく指摘されるのが、日本は再分配した後に貧困が悪化する唯一の先進国だということ。それじゃあ「再分配」の意味がないではないか!ということになります。フランスや北欧などでは、再分配を通じて子どもの貧困を大幅に減らすことに成功しているのに、日本は税や社会保障を通じて、貧しい子どもを増やしちゃっていることになります。つまり貧乏人からとって金持ちに流しているってことで、いわゆる悪代官状態、完全にディストピアです。。。

http://kodomo-ouen.com/questionnaire/08.html#03

 

 こんな変な状態を解消するためには、所得税の累進性を強化して生活保護などを充実させる程度のことしか以前は考えたことはなかったのですが、フランスで子どもを育てるうち、所得の再分配がより広い場面で表れていることに気が付きました。

 

 例えば、近所の保育園に入れないなどの理由で、ベビーシッターを直接雇用することは非常に一般的です(ベビーシッター制度については機会を改めて)。ベビーシッターの雇用に対しても、所得に応じた補助の役割が大きいのです。ベビーシッターを直接雇用して、3歳未満の子どもを預ける場合、扶養する子どもが1人の家庭で、年収が20,550€(約270万円)以下の場合、毎月467€(約6万円)の援助が受けられます。シングルマザーなどのひとり親の場合には、この額は4割増しです。ただし、この援助には所得の制限はなく、額はかなり低くなりますが、所得の多い家庭にも支給されます。

http://www.caf.fr/allocataires/droits-et-prestations/s-informer-sur-les-aides/petite-enfance/le-complement-de-libre-choix-du-mode-de-garde

 

 保育料の減免措置は、日本でも導入が進んでいるようです。ただ、そもそも待機児童の問題もありますし、働き方によっては保育園に預けることが難しい親もいます。ベビーシッターの雇用についても大胆な援助があることは、待機児童の解消に役立つとともに、雇用を生み出しています。(大きな役割を果たしているベビーシッターの労働条件についてはまたの機会に)

 

 ところで、フランスでは9月と言えば、新学年の開始。新学期の準備で最も慌ただしい時期の一つです。部活動のないフランスの学校。スポーツやアートなどを学ばせたければ、学校の外で習い事をさせなければなりません。そうした課外活動のリサーチや申し込みは、夏休み前の6月ぐらいから活発に行われ、実際の活動はやはり9月に始まります。そこで、また気がついたのはそこでも再分配が機能していること。ある程度公的な性格の施設だと、収入に応じて料金が決まります。もちろん学童保育の料金や給食費もそうなっています。

 

 ここまで徹底しての高い出生率なんだな、と思うわけです。そういう投資が思い切ってできるか。てか、しないと滅びると思うんだけどな、日本。